HondaのN-ONEを買いました日記

ホンダの軽自動車N-ONEユーザーとしての感想、便利/不便なところ、考えた事、気づき、ついでに調べたことなど綴った個人版N-ONEマニュアル

【番外編】マツダのスカイアクティブX新エンジンについて

関連まとめ ] 2017/08/09(水)

N-ONEのサイトなのに急にマツダの新エンジンのニュースが出たもので、かつて会社はぜんぜん違ったけど、その関連する企業でエンジンについても経験したもので、この手のはなしには目がないので、ネットで知り得る限りの情報を元にHCCIエンジンというテクノロジーを調べてみました。

マツダのスカイアクティブXエンジンの正体は「HCCIエンジン(Homogeneous charge compression ignition engine)」日本での呼び方は直訳になていませんが「与圧混合圧縮自己着火機関」といい、ふつうのガソリンエンジンは「SIエンジン(Spark ignition engine)」「火花着火機関」と燃料は一緒だけど燃焼のしくみが違います。

HCCIエンジンで今まで世の中に出回っているエンジンの中で一番近いものは、模型飛行機用の、写真のような小さなエンジンです。
O.S Hanno Special II ABC
この模型エンジンは空気と燃料の混じった混合器を吸い込み、ピストンがそれを圧縮すると自己着火する仕組みなので、まさにHCCIエンジンなのですが、確実に火をつけるために電熱線の入ったグロープラグが着いています(写真のエンジン頭の真ん中に金色の小さいネジみたいに見えるものがグロープラグ)。いつも燃焼ガスにさらされた電熱線部分が熱くなっていて、そこに触れた混合器が着火するしくみは、昔あったポンポン船の「焼き玉エンジン」と似た仕組みなので、セミディーゼルエンジンとも呼ばれたりします。

マツダのスカイアクティブXエンジンは、このHCCIエンジンを自動車用に実用化開発の目途がたち、世間様に「もうすぐ出ますよ」と公表してもいい段階になったものだと思います。以下のリンク先は立命館大学でのHCCIエンジンのプレゼン資料のようで、内容は専門的で難解ですが、HCCIエンジンは模型エンジンが元祖、みたいなことも書いてあります。
第三のエンジン燃焼法(立命館大学)へのリンク

実際にマツダのHCCIエンジンの機構についてマツダから直接公表された記述や動画は、現時点では広報用で、いろいろ探しましたが詳しくないものばかりだったので、どうも確からしいと思われる関連動画を以下に貼りました。


この動画はマツダではなくてGM(アメリカのゼネラルモータース)のものです。おそらくこのGMが開発はしたけれど世には出していない幻のHCCIエンジンとほぼ同じだと見て良いのではないかと思います。もしそうだとしたら、動画で分かるように、シリンダー内で燃焼が終わり、熱い排気ガスが排気口から出て行っている行程の終わりあたりにシリンダー内にガソリンを噴射して、次の圧縮行程のちょうどいいタイミングで勝手に火が着くようになっていると想像されます。

おそらく排気行程最終、あるいは吸気行程の最初あたりの、どの期間にガソリンを噴射するかで着火するタイミングがコントロールできるのでしょう。そういう着火時期コントロール技術が確立したので、このエンジンは自動車用として世に出せるんではないでしょうか。この着火時期はディーゼルエンジンでは噴射とほぼ同時に着火なので、噴射タイミングでコントロールしています。一般のガソリンエンジンではスパークプラグに電気を流すタイミングで火を着ける時期をコンロトールしています。これらの火が着くタイミングは燃費にも排ガスにも、エンジンフィーリングにもすごく影響が出ますから、模型エンジンではなんとかなっていても、自動車用エンジンではそのままでは実用になりません。きっとマツダはここに独自技術を適用して実用化に成功したものと思われます。

マツダのスカイアクティブXエンジンは、いわゆる「直噴エンジン」の一種です。
直噴エンジンはかつて三菱やトヨタが製造していましたが、もう廃盤になってしまいました。当時の直噴エンジンはHCCIではなくて希薄燃焼エンジンでした。
希薄燃焼させるということは、空気をたくさん入れるためにスロットルバルブを通常エンジンより開きかげんにして運転するため、ポンピングロスというものが減るから燃費がいい、という触れ込みでした。ポンピングロスとは、口をすぼめて息を吸ったり吐いたりすると力がたくさん要って苦しいでしが、口を大きく開いて吸って吐いてしても楽なように、エンジンもスロットルバルブを開き加減にする方が空気を吸うときのエネルギーが節約できるというものです。

それに対してHCCIは高圧縮比で燃費を稼ぐという方式のようです。
どの程度の圧縮比かはよく分かりませんが、ガソリンエンジンの圧縮比は10ぐらい(シリンダ内で10分の1まで圧縮させるという意味)、ディーゼルエンジンでは20ぐらいですから、スカイアクティブXエンジンはきっとディーゼルに近い圧縮比なのではないか?と思われます。それでディーゼルエンジン並の燃費になってくるというのがシナリオかと。でも後述するようにディーゼル並の良い燃費にはならないでしょう。

それでは何も新しく開発しないでディーゼルエンジンでいいのではないか?軽油の方がガソリンより値段安いし、と考えたくなりますが、ディーゼルでは問題がありました。
問題は黒煙が出ることです。

黒煙が出ると汚いからダメ、という環境問題上の問題がまずあります。が、その他にそもそも黒煙は炭素なのでまだ燃えるものです。そいつが燃えないまま出て行ってしまうのがもったいないという燃焼効率の限界があります。つまり不完全燃焼し易いエンジンだということで、この理由はシリンダーの中で燃料と空気がよく混じらないまま燃えてしまうからです。だから馬力をたくさん出そうとしていっぱい燃料を一気に噴射すると、あのディーゼルエンジン特有の真っ黒な排ガスをモウモウと出すようになる、それはマズいので適当な噴射量で打ち止めにする仕組みが予め盛り込まれているから、まあまあ黒煙は抑えられ、それゆえディーゼルエンジンは低出力という実態につながっています。

それに対して、通常のガソリンエンジンでは吸い込む空気と一緒に燃料がシリンダー内に入って行くからよく均一に混ざる(HCCIエンジンの最初のHは均一という意味のHomogeneousです)ので、一番馬力を出せる濃さまで燃料をいっぱい入れられるという長所が出ます。

これでディーゼルエンジン並のスバラシイ燃費のガソリンエンジンが出来た!?かというとそういうわけではないでしょう。マツダでは燃費も出力も15%改善されたように広報していましたので、その通りならたとえば一般のガソリンエンジンでの燃費がリッターあたり10キロだったとしたら、その15%増しでは12キロ未満ぐらい。一方ディーゼルではもっと上の15キロとかを同じ排気量で叩き出します。これはスロットルバルブがあるというポンピングロスを引きずっていることが大きな要因です。

だから燃費が15%良くなる効果がどんな価値を生むのかはまだよく分かりませんが、もしこのHCCI技術が普及して軽自動車のエンジンに適用されたら今の軽自動車の燃費相場がリッターあたり30キロだとしたら、そいつが35キロに近づくことを意味しますので、その価値はかなり大きくて、マイルドハイブリッド装置一式の価値と同じぐらいの勢いがあるんじゃないか?と思われます。

きっとHCCIはディーゼルエンジンと違って軽やリッターカーのような小型エンジンとの相性は良さそうです。

電気自動車の普及で私個人的にはHCCIエンジンはそんなに普及しないのではなかろうか?と思っていますが・・・
ホンダがどう思うのか、何かするのか、いっぺんホンダの技術者に聞いてみたいです。
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Author:なつお
6年前に他社の車からホンダステップワゴンに乗り換え、今年(平成25年)からホンダのN-ONEに乗るユーザーです。自動車関連とIT企業に勤めていた今はブロガーの男。

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